文化庁は、「平成29年度メディア芸術クリエイター育成支援事業」での海外クリエイター招へいプログラムの招へいクリエイター3名を決定いたしました。 本プログラムは、世界から若手の優秀なクリエイターを東京に招へいし、日本の創造文化に触れながら、作品を制作する機会を提供し、優れた作品の成果を促すとともに、メディア芸術における国際交流を推進し、交流機会を通じた国内クリエイターの育成を図ることを目的としています。
本年度は平成29年7月14日から9月19日までの期間に、全世界の優秀なクリエイターを対象に募集し、51カ国から169件の応募がありました。書類審査、審査会を経て決定した招へいクリエイターは、平成29年1月中旬から3月中旬まで東京に滞在し、期間中、新作の制作を進めると同時に、研修会、上映会、あるいは国内クリエイターのアトリエやスタジオ等、教育機関との交流など、さまざまなプログラムに参加する予定です。
招へいクリエイター
(国籍)
アポロ・カチュ Apolo CACHO
(メキシコ)
平成30年1月中旬より60日間滞在予定
1987 年、メキシコ生まれ。画家、マンガ家。エスメラルダ絵画学校を卒業後、2011 年より自費出版でマンガ作品を発表している。 2014 年、アングレーム(フランス)のレジデンスプログラムに参加。自身の出身国であるメキシコ国内における暴力と破壊の 歴史に基づいた作品を制作している。
http://apolocacho.tumblr.com/
滞在制作の企画概要
『The reinvention of Mexico(ザ・リインベンション・オブ・メキシコ)』:破壊によって失われた14世紀から16世紀の間のアステカ帝国の首都「テノティトラン」に根付いていた文化における表現の可能性を引き出し、暴力と破壊に代表されるメキシコ国内の社会的矛盾とその歴史をマンガ作品として制作する。日本での滞在制作を通してメキシコのマンガ表現に自身のもうひとつのルーツである日本のマンガ表現を取り込み新たな可能性を探る。
ソフィー・マルカタトス Sophie MARKATATOS
(ベルギー)
平成30年1月中旬より60日間滞在予定
1990 年、ベルギー生まれ。アニメーション作家。フランスの EMCA とゴブラン校、および英国のロイヤル・カレッジ・オブ・ アートでアニメーションを学び、在学時に制作した作品は世界 30 以上の映画祭で上映される。主に「現代社会における不平等」 に焦点を当てた作品を制作している。
http://www.sophiemarka.com/
滞在制作の企画概要
『The Fork Revolution(ザ・フォーク・レヴォリューション)』:男性優位の社会に生きるそれぞれ性格の異なる3 人の女性たちの友情と、彼女たちが女性に対する公平を求める様を描くアニメーション作品。オイルパステルとデジタル技術を用いて制作される本作では、彼女たちが、ときにユーモアを交えながら、女性を苦しめる男性に対して、フォークで消すことのできない穴を開ける「フォークの革命」を行う。
ゾヤンダー・ストリート Zoyander STREET
(英国)
平成30年1月中旬より60日間滞在予定
1987 年、英国生まれ。文化研究家、メディアアーティスト。ケンブリッジ大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ヴィクトリア・ アンド・アルバート博物館を経て、現在はランカスター大学博士課程に在籍。記号学やゲームの歴史、インタラクティブ・メディ アを通じて社会技術システムを分析している。
http://www.zoyander.cc
滞在制作の企画概要
『Videogame Portraiture Salon(ビデオゲーム・ポートレイチュール・サロン)』:LGBTQ+のアーティストや活動家への口述インタビューを行い、そのインタビューで得られた証言を元に、インタラクティブに閲覧できる対話型作品を制作する。本作の制作を通じることで、ユーモラスで情緒的な新しい形の対話型ドキュメンタリー手法の創出を試みる。