小松宏誠さんは、暗闇に光る羽が、音とシンクロしながら浮遊・消滅を繰り返す『Air’s song』で第10回アート部門審査委員会推薦作品に選出されています。今回の『上昇気流に乗り続ける、鳥の翼を素材としたオブジェ。–「オブジェの変形」により、ダンスのような動きを獲得する。–』では、『Air’s song』に続き鳥の翼を素材として用い、風の力によって空中に舞い続けるという作品を制作します。

打合せには、アドバイザーとして、マンガ家のタナカカツキ氏、アーティストの三上晴子氏が参加しました。

小松さんは以前、鳥の翼で作られたオブジェがファンを回して生まれた上昇気流によって空中に舞い続けるという作品『Secret Garden』を制作しています。今回の企画では新たに、オブジェ自体の変形(鳥の翼の角度調節など)を組み込み、バレエやブレイクダンスのような緩急のある回転運動を目指しています。

面談ではまず、小松さんからプロジェクトの概要と、現在の状況についての説明がありました。作品の技術面では、オブジェを浮遊させる方法についての実験と、オブジェの羽を動かすための電源供給の方法について検討を行っているとの報告がありました。

現在、太陽光パネルをオブジェの下部に設置し、真下に照明を設置することによって電源供給を行うことが検討されています。また、羽を動かす方法についてはラジコンのヘリコプターを参考に説明が行われました。機械が露出する部分については、ダチョウの卵を用いたフードを用意することを検討されています。

その後、展示方法について、オブジェの羽を動かす際に観客とのインタラクションを行うかどうかについての議論が行われました。タナカ氏からは、あまりおもちゃのようにはせず、前回の作品の流れを踏襲しながら、上昇気流を用いたピュアなおもしろさを追求していくことが望ましいとの指摘がありました。

また、三上氏からは、作品のコンセプトに合わせて、インタラクションを行うかどうかの判断をしていくべきとの指摘がありました。

小松さんは次回の面談までに、作品を浮遊させることを目標に制作しています。展示の外装については、その後、検討していくことを確認しました。