水江未来さんは、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において、5つの作品が審査委員会推薦作品に選出されています。その作品は、全て個人制作による作品です。そして、自身にとって新たな挑戦となるアニメーションの共同制作に取り組むため、この支援に応募した『momon』が支援作品として選出されました。タッグを組む藤田純平さんも過去2回、個人制作のアニメーション作品で審査委員会推薦作品に選ばれています。異なるスタイルを持つ2名のクリエイターが共同制作することで、どのような作品が生み出されるのでしょうか。
今回の面談には水江さんと、アドバイザーとしてアニメーションディレクターの伊藤有壱氏とマンガ家のタナカカツキ氏が参加しました。
打合せの冒頭で、水江さんからは、藤田さんとどのように役割を分担をし、作品制作を進めていくかが説明されました。水江さんの作風である抽象的なアニメーション表現を生かすこと、これまでのアニメーションのルールにとられない表現を取り入れることを前提に、藤田さんが作品の展開やイメージをラフスケッチにまとめ、そのイメージに沿って水江さんが作品制作を進めていくということでした。すでにオープニングアニメーションの制作は開始されていたため、その動画を確認した後、その映像に続く内容が絵コンテで紹介されました。主人公となる少年の空想が自由に変化し、その変化を追っていくことでストーリーは展開していきます。
説明を一通り聞いた後に、タナカ氏からは「主人公となるキャラクターの存在感と、抽象的なアニメーションがどのように融合するのか。その方向性、イメージを具体的に把握されているのか。その方向性によっては、主人公の少年のキャラクターの設定を、もっと詳細に固める必要があるのではないか。」という指摘がありました。また、伊藤氏からは、「例えばこの作品がきっかけになって、作家性の強い作品が多く集まる映画祭のようなステージからテレビシリーズ化や映画化といった広く一般の目に触れるようなステージに一歩踏み出す可能性も意識してみてはどうか」というアドバイスがありました。短編アニメーションの分野で活躍してきた水江さんは、広く興行されるアニメーションを強く意識したことはこれまであまりなかったということで、新たな意識を促す機会となったようです。次回の面談の際には、作品のトレーラーを見せる目標を設定し、初回の面談は終了しました。