「平成27年度メディア芸術クリエイター育成支援事業」では、5月12日から6月1日の募集期間に集まった応募企画の中から、選考を経て計6件の企画が採択されました。今後、具体的な支援が始まり、その進捗状況は定期的に本ウェブサイトでご紹介していきます。また、採択された企画の「成果プレゼンテーション」を第19回文化庁メディア芸術祭の開催期間(2016年2月3日〜14日)に合わせて行います。
採択企画一覧
《デジタルシャーマン・プロジェクト》(仮)(リサーチ&アートプロジェクト)/市原 えつこ
企画について:魔術や信仰、科学やテクノロジー。両者はそれぞれ遠いところにいるように見えて、 どちらも「ここにはない何か」を再現するという性質において、実は極めて親和性が高く、近い場所にいる。《デジタルシャーマン・プロジェクト》(仮)では、科学技術の発展を遂げた現代向けにデザインされた、新しい祈りのかたち、葬り方のかたちを提案する。日本人特有の生命や死の捉えかたを探求するリサーチプロジェクトとしても機能させる。
市原 えつこ(ICHIHARA Etsuko)
アーティスト、妄想監督。1988年愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。学生時代より、日本独自の文化とテクノロジーを掛け合わせたデバイス、インスタレーション、パフォーマンス作品を手がける。主な作品に、大根が艶かしく喘ぐデバイス『セクハラ・インターフェース』(2012)、虚構の美女と触れ合えるシステム『妄想と現実を代替するシステムSR×SI』(2013)、脳波で祈祷できる神社『@micoWall』(2012)等がある。
http://etsukoichihara.tumblr.com/
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品『妄想と現実を代替するシステムSR×SI』
《音楽》(長編アニメーション映画)/岩井澤 健治
企画について:長編アニメーション映画『音楽』は2012年6月にスタートした自主制作の企画である。実写映像をもとに作画するロトスコープという手法で制作され、制作体制、制作過程、上映方法、資金繰りなどを随時公開し、その制作プロセスにおいても現代における映画づくりの可能性を少しでも拡げる作品にしたいと考えている。
岩井澤 健治(IWAISAWA Kenji)
1981年東京都生まれ。高校卒業後、石井輝男監督に師事、実写映画の現場から映像制作を始め、その傍らアニメーション制作を始める。2008年に初のアニメーション作品『福来町、トンネル路地の男』が完成。以後、アニメーションを中心とした短編映画を制作し、2012年より自主制作の長編アニメーション映画『音楽』を制作中。
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第12回アニメーション部門審査委員会推薦作品『福来町、トンネル路地の男』
《Bug’s Beat》(バイオ&サウンドアート)/佐々木 有美 + ドリタ
企画について:虫(Bugs)は小さな小さな生物。彼らの微細な足音を特別なマイクロフォンで爆音にして聴くと小さな小さな目の前の虫(Bugs)が、大きく感じられ、自分の大きさが変化したように感じる。これは録音物や、ヘッドフォンでは感じられない。この不思議な音響体験を使い、何週類かの昆虫の音を一定の時間でオンオフしてビート(Beat)をつくり、新しい音楽体験ができる作品を目指す。
佐々木 有美(SASAKI Yumi)
日々、こどもと楽しく遊んで学ぶことを考えている。音、スライム、工作、電気、昆虫、カタツムリ、結晶、鉱物などなど好きなものたくさん。好奇心だけで生きている。
https://yumisasaki.wordpress.com/
ドリタ(Dorita)
「視覚」と「味覚」、「聴覚」と「視覚」など、異なる五感を組み合わせた新たな体験を生み出すことを基本姿勢としている。デジタルなものをフィジカルに変換するなど、ハイテクな技術を使って、ローテクな作品に仕上げている。
http://doritab.com/
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第18回エンターテインメント部門新人賞『Slime Synthesizer』(ドリタ/エアガレージラボ(川内尚文/佐々木有美)として選出)
《深海の虹》(アニメーション)/鋤柄 真希子、松村 康平
企画について:アニメーション『深海の虹』は深海の神話を描いた作品である。それはギリシア神話で語られるような種を越えた愛であり、私たちが未だ立ち会うことを許されない生命の営みである。生物発光は本作の重要なテーマの一つである。本作のねらいは、深海という闇の世界を舞台に、生命活動を光として捉え、マルチプレーン技法を用いたアニメーションによって表現することである。
鋤柄 真希子(SUKIKARA Makiko)
大学在学中よりアニメーション制作を開始。2007年、チェコのフィルムスクールへ短期留学。2008年、処女作『蜉蝣』がNHKデジタルスタジアム(今敏セレクション)に入選。『雪をみたヤマネ』(2010)、『やまなし』(2011)は国内外の映画祭で上映されている。また2012年より人形劇団JIJOとの舞台作品『マリオメーション』を始動。JAA(日本アニメーション協会)会員。
http://sukimaki.com
松村 康平(MATSUMURA Kohei)
00年代初期より映画、写真作品の制作を開始。自作以外にも様々なアートシーンに於ける映像制作を手がける。2005年、『internet images』(林口哲也との共作)がキヤノン写真新世紀優秀賞。2012年、『John Cage 100th Anniversary Countdown Event 2007-2012』の記録映像を完遂。2014年、最新作『Scene Missing』がカンヌAVIFFにて上映。
http://matsumurakohei.com
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第17回アニメーション部門新人賞『While The Crow Weeps ―カラスの涙―』
《ようこそぼくです4》(アニメーション)/姫田 真武
企画について:うたとアニメーションのシリーズ作品『ようこそぼくです』の第4弾。懲りずに孤立がつながるよ、と自己暗示をするうた『レッツコリツ』、ずっと出番を待っていた謎の女“ようこ”が歌ううた『ようこ、素朴です』、ミミズのあの子や年上のあの子たちと首をのばすうた『こそこそぼくです』の3曲収録予定。
姫田 真武(HIMEDA Manabu)
1988年宮崎県生まれ。多摩美術大学大学院グラフィックデザイン学科修了。一時的なうたのおにいさんへの憧れから、作詞、口作曲、歌、パフォーマンスに手を出してしまい、それらを詰め込んだアニメーションを制作している。普通レベルに歌って踊って絵は描ける4人組”ズンマチャンゴ”としても活動中。
http://himedashaaan.wix.com/himedamanabu/
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第15回アニメーション部門審査委員会推薦作品『ようこそぼくです』
第17回アニメーション部門新人賞『ようこそぼくです選』
《スーパーマーケット》(仮)(アニメーション)/ひらの りょう
企画について:
ここから4,000km離れた東南アジアの工場で作られたTシャツを着て、男は県道を抜けるヘッドライトとラブホテルの看板に照らされながら、夜道をスーパーマーケットへ向けて歩く。女はシフトを終えて、遅い夕食の食材を選んでいる。
県道のまん中には車に轢かれた猫の死体が転がっている。
男と女はその夜出会う。
男と女と猫の幽霊を登場人物に、スーパーマーケットを舞台に時間や空間を越えた、郊外のボーイミーツガール物語。
ひらの りょう(HIRANO Ryo)
1988年埼玉県生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。産み出す作品はポップでディープでビザール。文化人類学やフォークロアからサブカルチャーまで、自らの貪欲な触覚の導くままにモチーフを定め作品化を続ける。その発表形態もアニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居、VJ、音楽、と多岐に渡り周囲を混乱させるが、その視点は常に身近な生活に根ざしており、ロマンスや人外の者が好物。
http://ryohirano.com
文化庁メディア芸術祭での受賞・選出歴:
第15回エンターテインメント部門新人賞『Hietsuki Bushi』
第15回アニメーション部門審査委員会推薦作品『ホリデイ』
第18回マンガ部門審査委員会推薦作品『ファンタスティックワールド』
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