SHIMURAbrosの企画『映画なしの映画』の制作に向けた打合せは、SHIMURAbrosの健太郎さんとアニメーションディレクターの伊藤有壱氏、メディア・アーティストの三上晴子氏の三者で行われました。

 

このプロジェクトでは、昨年度のアート部門審査委員会推薦作品となった『FILM WITHOUT FILM』を新たに展開させます。ロシアの映像作家レフ・クレショフの同名の映像実験を基に、映像を連続したCT画像として読み込み、3Dプリンターで印 刷。こうして映像を物質として置き換え、被写体とカメラの位置関係によって定義される映像空間を3次元で展開します。今回は、シュルレアリスムの傑作と評 される実験的映画作品『アンダルシアの犬』からカットを使用し、実寸大に近い人物像の制作が検討されています。

健太郎さんから今回の作品の完成形について説明があり、それを受けて三上氏、伊藤氏から造形上の細かい質問がありました。これまでの作品とは異なる素材を用い、ドアを挟んで男女が向かい合うシーンが新たな様相で立ち上がる作品の制作が想定されています。また、展示の際、このプロジェクトに対する鑑賞者の理解を促すため、どのような配慮が展示に可能かということも議論となりました。

健太郎さんがこれまでに発表してきている『X-RAY TRAIN』(第14回アート部門審査委員会推薦作品、機関車をCTスキャンした画像を7メートルの空間に配置した12枚のスクリーンに連続投影)など、 各プロジェクトで採用された展示方法を考慮し、今後どのように展示を行うのかも検討しつつ、制作を進めていくことになりました。