これまで自主制作のアニメーションとして『ホリデイ』(2011年)、『パラダイス』(2014年)などを制作してきたひらのさん。今回制作している作品は、郊外にあるスーパーマーケットを舞台にボーイ・ミーツ・ガールの物語を描く『スーパーマーケット』(仮)というアニメーション作品です。
担当するアドバイザーはアニメーション作家の野村辰寿氏とアートディレクター/映像ディレクターの田中秀幸氏です。
今の時代にできる表現
ひらのりょう(以下ひらの):ここ数ヶ月、いろいろな仕事などで忙しくしていて、実は正直なところ今日はおみせできるものがないんです。現状としては、中間面談でお見せした脚本そのままだと完成させることができないと感じたので、脚本の内容を改めて練り直している状況です。この作品で現在起きている戦争の話を入れ込めたらと思っていた矢先にフランス・パリの同時多発テロ事件が起きたのでショックを受けました。ですので、もう少しじっくり考えてから進めたいと思っています。そこで最近ご自身の舞台が終わったというロロの三浦直之さんにストーリーも含めて相談をする予定です。また、音楽に関しては七尾旅人さんにお願いする予定です。
田中秀幸(以下田中):とりあえず、現状は理解できました。成果発表までに何をするかですね。
ひらの:成果発表に向けてはトレイラーを作る予定で考えています。
田中:そのトレイラーの時点で七尾旅人さんの音楽が入ったものはできたりするんですか?
ひらの:はい、そうできればと思っています。
田中:ただトレイラーを流すだけではなく、せっかくなので本編のアニメーションの雰囲気が伝わるものができれば良いですね。
野村辰寿(以下野村):脚本などに変更があるとはいえ作品の根幹は変わらないと思います。今現在、人類がおかれている危機感を要素として入れていくという感じなのでしょうか?
ひらの:いったん男の子と女の子を描いてみたんですが、このまま進めるモチベーションがどうしても出ないんです。考えているのは、片田舎のスーパーマーケットで自爆テロをしようとしている女の子の話です。それは荒唐無稽な話というわけではなく、今の時代だから作れるものであると考えています。
野村:なるほど、時事性というべきでしょうかね。舞台は日本で変わりないですか?
ひらの:そうですね。ファンタジーのようなというよりは、リアルさのある表現をするためにも日本を舞台に描くつもりです。
野村:そういう意味では舞台は日本になりますね。
ひらの:今の進行状況はこんな感じです。ここ数ヶ月の間いろいろな仕事が詰まってしまい、体調も悪くなってしまったので作業はあまり進んでいません。
野村:まずは無理をせず体調を回復させてください。そもそも体調が良くないと良い作品は作れませんからね。
田中:そう思います。今後もメールでやりとりして成果発表に挑みましょう。
―脚本から見つめ直すというひらのさんの作品は、成果プレゼンテーションでのトレイラー公開に向けて制作が再始動します。